先が見えない・・・被災3日目

3日目になってくると、避難生活の慣れと、救援物資の充実とともに、身体(疲労)と精神(ストレス)の疲れが出てきました。

初日、2日目と
必死に動き回ってきたのが、一息ついたことで、ドッと疲れが吹き出してきた感じです。

特に親父の疲労の色が濃くなってきました。

私は当時22歳。

体はバリバリに元気です。

社会人2年目ですが、遊びほうけており、まだまだ学生時代の甘い考えを引きずったままの精神年齢。

親元に暮らし、気が向いたら彼女の家に転がり込むような生活。

そんな男でしたから、この避難生活による精神的ストレスも、当時少なかったように思います。

しかし、親父は明らかに疲れていました。

肉体的というより、精神的な疲れが親父を襲っていました。


避難生活では、日中は基本的に破壊された家の片付けをしていたのですが、家は余震でいつ倒壊するか分からない状態。

まして、両隣の家は私の実家にもたれかかるように倒れています。

ですから、親父と兄貴と私の3人は、一人で家には近づかないように決めていたのです。

家の中に入るときは万一に備えて、必ずペアで動き、一人が中に入っても、もう一人は外で待機すると約束していました。

しかし、この日、親父の姿が見えなかったので探していると、一人で家の片付けをしていたのです。

兄と私が、親父を呼び戻し、せっかく助かった命なのに、勝手なことをしないように言いました。

「悪かった・・・今度からやめとくわ。」

と元気のない声で、詫びました。


一度、公園のテントに戻り、今後について話合いました。

親父が疲れているのは無理もありません。

まったく、この先が見えないのです。

一家の大黒柱として、家族をいつまでも、この寒い公園のテントで寝泊りさせるわけには行きません。

その当時はそんなことを考えたこともありませんが、妻、子供の居る現在の私には、今となってはその時の親父の心労を図ることができます。


親父は中学を出てすぐに、滋賀県の田舎から神戸の都会にひとりで出てきて働き、若くして店を持ち、商売で身を立てました。

そして、裸一貫から、立派な店と家を20代で建てたのです。

商売が順調にいき、30代でローンは完済、その後リフォームを繰り返し、常に家に手を入れていました。

そう、家が好きだったようです。(私もその血を受け継いだと思います)

朝から晩まで休みなしに働き続けた、その血と汗の結晶である家が、一瞬にして破壊されたのです。

我に返ると、気がおかしくなっても変ではないでしょう。

私も2年前に、親父と同じように自分で家を建てました。

思いが深く入り込んだこの家が、地震で倒壊してしまうようなことがあれば、私は這い上がれるでしょうか


今、自分の家を持って、はじめて、このときの親父の気持ちを察することができます。

その当時は、そんなことは考えられるはずもなく、親父にエラそうに「勝手に一人で家に行ったらアカン!」と責めていました。


この先、どうするのか?

滋賀の田舎に家族全員で行こうか?

家族全員仕事を持っていたので、それじゃ仕事に通えない。

マンションを借りるにしても、ウチは中型の犬が2匹もいる。

そんなところがうまく見つかるだろうか?


3日目、4日目くらいになってくると、公園の避難生活をしていた人たちは序々に減り始めてきます。

今後の見通しが見えない不安が、強いストレスとなって、両親を苦しめていました。

2008/01/29(Tue) | トラックバック(0) | コメント(4) | page top↑
コメント
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ぼろぼろ、泣きながら読んでました。

大変でしたよね、リックルさんも、そのご家族も、
被害にあったみなさん全員。

ただ、ふと、リックルさんの今ある強さ、ご夫婦のつながり、、、これ、こういうどん底を一緒に体験された者の絆から来るものなんだろうか?

ブログからにじみでるリックルさんのどこか怖いものなしのたくましさって、、これもどん底を観てきた人だけが感じる、これ以上悪くはならないという強さかな?

辛い経験をプラスに持っていかれて、今生きていらっしゃるリックルさん家族に

本当に尊敬の念を抱きます。

真の強さ!ですね。
本当に大事なもの、を知っていらっしゃるって
強いですね。
by: べべ * 2008/01/29 14:53 * URL [ 編集] | page top↑
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こんばんは。

ニュースなどでは見ることのできない真実がリックルさんの文章から見えてきます。

親父さんの気持ち、私も今なら少しは理解できます。
私も父親として家族を守ることが父親の責任のように感じているので...。

先が見えない..
これほど不安になるものはありませんね。
by: はるはる * 2008/01/29 22:12 * URL [ 編集] | page top↑
--べべさん、おはようございます^^--

死ぬかもしれないような局面を夫婦で経験すると、確かに妙な信頼関係ができた?のかも知れませんね。

でも僕はそんなにたくましい人間じゃないです。。。
震災って、プラスに持っていける要素がなかなかありませんでしたが、ごく最近になって、”あのときの経験”が生きてるのかな?って思えるようになりました。

いつも応援ありがとうございます!
by: リックルハング * 2008/01/30 07:13 * URL [ 編集] | page top↑
--はるはるさん、ありがとうー--

親の気持ち、親になってから分かる・・・ってやつですね。
家を建てたことのない人に、家への愛着が分からないのと同じかな?
やっぱり人間って、実際にその立場にならないと、その立場の苦労って見えてこないんですよね・・・
by: リックルハング * 2008/01/30 07:17 * URL [ 編集] | page top↑
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