神戸から8時間かけて到着した、大阪府茨木市の私の会社の独身寮。
昼過ぎに到着する予定が、予想をはるかに超える大渋滞の洗礼により、着いた頃にはあたりはすっかり暗くなっておりました。
そして、到着を待っていたかのように雨が落ちてきました。
寮の玄関は閉まっており、どこに挨拶したらいいかも分かりません。
「本当にここに入れるんだろうか・・・?遅くなってしまって迷惑と思われないかな?」
私は大きな不安を抱いておりました。
玄関横のインターホンを鳴らし、
「立来と申します。神戸から来ました。」
すると、すぐに小柄な男性が出てきてくれました。管理人さんです。
「聞いてるよ。遅かったね。来ないかと思ったよ。」
無愛想な対応に、嫌な不安がよぎりました。
「すみませんでした。大渋滞でして・・・」
(やっぱり管理人さん、機嫌が悪そうだ。そりゃそうだ、半日も遅れてきて、もう夜だし、くつろいでいたはず。。。)
両親が飛び出てきて、
「すみません、お世話になります。」
「大変でしたね。できることはさせてもらいますので、ゆっくりなさって下さい。」
「ありがとうございます。」
「じゃあ、立来くん。君に中のことを説明しとくよ。ついてきて。」
そういって、私を呼び、寮の中を案内してくれました。
2階の一番端の部屋を一部屋借りることになりました。
部屋は二人部屋でベッドが2つあります。
4人家族ですので、あと二組分の布団を部屋に用意してくれていました。
「部屋は自由に使ってくれたらいいから。」
この管理人さん、こういうぶっきらぼうな話し方をするのは普通のようで、決して怒ったりはしていませんでした。
それどころか、男ばかりの独身寮に、私の母や妹が来ることに対して、非常に細かな心配りを頂いたのです。
部屋を案内された後、トイレを案内されました。
もちろん男子トイレしかありません。
「大便器の一番奥を、立来さんのところ専用にしてあるから。妹さんやお母さんは入りにくいかも知れないけど、日中はみんな仕事に出てるから大丈夫ですよ。」
そういってトイレを見ると、一番奥の大便用個室のドアに「立来家専用。寮生使用禁止」とハリガミがされていました。
そして、次にお風呂に案内され、
「20:00〜20:30を、立来さん家族の貸切にしてるから、お母さん・妹さんに安心して入って欲しいと伝えてくれ。君とお父さんはいつ入ってもOKだよ。」
トイレと同じように、浴室の入口に「20:00〜20:30立来家専用。この時間帯は寮生の使用一切禁止」とハリガミしていました。
最後に食堂へ通されました。
「一応ここが食堂だけど、立来さんのところは妹さんやお母さんが居るから、部屋まで食事を運ぶようにするから。」
「何から何までありがとうございます。」
「何か不自由があったら、言ってくれ。できることは何でもするから。」
「助かります。ほんと十分すぎるくらいです。ありがとうございます。」
「今日はすまんけど、食事はもう終わってるから、外で食べて来て下さい。近くに何件か店はあるから。」
「はい・・・ところであの〜」
「何だ、何でも言ってくれ。」
「ウチは犬が居るんですけど。。。」
「おおぉー、そうやったな。忘れてた。聞いてるよ。心配いらん。」
そう言って、寮の外に出ました。
そして、屋根のある自転車置き場の片隅に連れていかれ、
「ここでどうだ?寒いかな?」
「まったく問題ありません。室外犬なので寒さは大丈夫です。雨さえ凌げれば十分です。ありがとうございます。」
何もかも準備してくれていました。
本当に困っている時に助けてくれる、この喜びと感動は、不安と恐怖で疲れきった私の家族の心を温め、長い長い神戸脱出での疲れを忘れさせてくれました。
震災がもたらした唯一の良かったものとして語り継がれる、「助け合い」の精神。
テント生活でも、この独身寮でも、またこの先でも多々あるのですが、人間が助け合うことの大切さを改めて深く知ることができました。
余談ですが、寮の食堂の横の談話室に8名くらいの人が寝袋で寝ていました。
管理人さんに教えてもらうと、震災復興の応援で、東京や名古屋、九州などから応援の社員が来ていて、彼らはそのメンバーだそうです。
私の会社は前にも書きましたが、ある公共性の高い乗り物のメンテナンスをやっておりますので、震災後はその復旧にかなり仕事が忙しく、全国の事業所から応援に来てもらっていたようです。
仕事で遠方から来てくれている人が談話室の床に寝袋でザコ寝で、私たち家族が立派な部屋を借りるのは、何だか心苦しい気持ちになったことを今でも覚えています。
管理人さんが、気配りの行き届いた方で安心しました。本当、しんどい時に人の優しさに触れると泣きたくなります。
(悔しいときは、絶対に泣きたくないけど・・・)
2人部屋に4人の生活は大変だったでしょうね。けれど、わんちゃんも皆様も、無事雨から避難できた事に感謝するしかない状況だったのでしょうね。
このときの管理人さんの温かさやお気遣いをおぼえてらっしゃる立来さんなら、どなたか困った方がいらっしゃったら、すっと手を差し伸べてあげられますね(*´∀`*)”助け合い”ほんとに素敵なことですね。ご家族のみなさんも本当に大変でしたでしょうが、ワンちゃん含めてご無事でほんとによかったぁ〜(*´▽`*)
そうですね。
普通に考えたら不自由な生活には変わりないのですが、テントに比べたら・・・
贅沢の言える状態じゃありませんでした。
とにかく、あたたかい部屋で寝られる喜びを感じてましたね。
いつもありがとう。
多くの人に助けてもらいました。
今はまだ人を助けられるような器じゃありませんが、ひまわりさんの言うとおり、困っている人に手を差し伸べられるような人間になりたいと思うし、そう実行して行きます。
ありがとうございます^^
→http://phenixashiya.blog98.fc2.com/tb.php/21-f261cbc7


