震災から11日目。
前の晩に親父に電話を入れた時に、明日神戸で合流して、車で一緒に茨木の会社の寮に戻る約束になっていました。
3日間お世話になった親友とそのご家族にお礼を言って、久しぶりに家族と合流しました。
会社の独身寮を間借りして4日。
寮の関係の方は、みんなよくしてくれて、何不自由ない生活ができているようでした。
しかし、母はポツリと言います。
「いつまでもお世話になる訳にはいかないね。。。」
そう思うのも当然です。
男ばかりの独身寮に、女性が寝泊りしていますから、寮を管理する側は、私の家族を中心に物事を進めます。
どう考えても、すごく気を使ってもらってます。
裏返せば、私たち家族のせいで、寮の方にとても迷惑がかかっています。
私はここに居なかったので、あまり気にしていませんでしたが、両親と妹にとっては、実際にここに居ると、その気の使われようがだんだんと申し訳なさに変わり、ツラくなっているようです。
母と妹は、寮にかける迷惑を少しでも解消したく、お風呂の時間はとってもらわなくてもいいと申し入れていました。(ある時間帯だけ我が家のためにお風呂を貸切にしてくれていた。)
そして、寮から歩いて15分くらいのところにある銭湯に毎日行ってたようです。
「確かに気を使うわな・・・」
久しぶりに家族にあって、そんな苦悩を聞きました。
「かと言って、他に行くところがあるわけでもないし・・・」
そんな我が家に、ある朗報が入ってきます。
名古屋に住む兄からの電話です。
「ウチの会社の社宅が一室空いてるから入ってもいいって、言ってくれてる。場所は神戸の北区。大阪の茨木よりは神戸に近くなるし、そっちに移らへんか?」
神戸市内でも北区は六甲山の裏側に位置し、震災でほとんど被害の出なかった地域です。
実家のある灘区まで確かに距離はあるけど、茨木よりは近い。
しかも社宅。
普通のマンションと同じ暮らしです。
願ってもない兄貴の申し入れに、家族は大喜びしました。
が、ひとつ問題がありました。
私の家族は、両親と妹と私・・・・・
以外にも犬が2匹います。
さすがに犬を連れて行くのは、NGでした。
室内犬なら、”こっそり”もあり得ましたが、ウチは中型犬。
隠れて飼うなんて、まず無理です。
これまで多くの人に助けられ、支援してもらい、ここまできましたが、ここもまた誰かの厄介になるしか方法はありませんでした。
両親は犬を預かってくれる親戚を探しました。
犬を預かる・・・
これはちょっと重たい話です。
自分が逆の立場、頼まれた方の立場なら、ちょっと焦ります。
いくら非常事態とは言え、他人のペットを預かるのは責任重大です。
まして、犬が嫌いな人も多い。
もう成犬です。
噛んだり、吠えたりする犬ではありませんが、すんなりと、なつくとは思えません。
なつかない、他人の犬を、いつまでという期限を決めることなく、預かってくれる人なんて居るんだろうか?
しかも2匹。。。
できれば2匹は一緒に居させてやりたいが、恐らく離れることになるだろう。
こんなことを頼めるのは一番近い、肉親になります。
滋賀県のおじいちゃんのところが家も広く、真っ先に思い浮かびましたが、高齢で足の悪いおじいさん、おばあさんに犬の世話をお願いするのは無理があります。
次に名古屋の兄貴。
マンション住まいなのでアウト。
両親は、最終的に1匹ずつをそれぞれの兄弟にお願いすることにしました。
1匹は親父の弟に預かってもらい、もう1匹は母の兄に預かってもらうことになりました。
震災の被害者には、人間だけでなく多くのペットも多く含まれています。
実際に建物の下敷きになったり、建物に閉じ込められても救出は人間優先のため、そのまま死んでしまったり、飼い主を失ったペットが処分されたり、悲しい話はよく聞きます。
我が家の犬2匹も震災の大きな被害者でした。
ここからはちょっとツライ話です。
今日は文字ばっかりで読みづらいかも知れませんが、あまり何日にも分けて話する気になれませんので、一気に書きます。
1匹は比較的裕福で、大きな庭があり、地震の影響のなかった親戚の家に預けられました。
預かってくれたこの家族は、もともと犬があまり好きではなかったので、おとなしい方の犬を預かってもらいました。
しかし預けて2日後、
「やっぱり預かれない。」
と言ってきました。
あわてて、引き取りに行き、他の親戚にお願いすることになりました。
この親戚のことは悪く言うつもりはありませんが、たった2日で「預かれない」には、ショックを隠せませんでした。
後を快く引き受けてくれたのは、テント生活の時にバイクで駆けつけてくれたあのおじさんです。
おじさんは自分の家でも1匹犬を飼っていて、ウチの犬を預かってもらうと、2匹の面倒を見なければいけないことになります。
おじさんの家は決して裕福ではなく、家もあまり広くありません。
しかし、おじさんの心は広く、大きい方でした。
嫌な顔せず引き受けてくれました。
おじさんは自分の犬と同じように、ウチの犬も手をかけてくれましたが、この犬は頭のいい犬で、そこが自分の本当の居場所でないことは分かっていました。
常におじさんの一家の顔色を見て、遠慮がちに暮らしていたそうです。
何度かその後も会いに行きましたが、私たちが帰るときのあの寂しそうな表情は今でも忘れることができません。
「連れて帰って欲しい・・・」
そんな目でこっちを見つめていました。
この犬は震災の1年後、おじさんの家で亡くなりました。
寿命としてはあまりにも早すぎる死でした。
犬にもおじさんにもツライ思いをさせてしまいました。
もう1匹の犬も、無理を言って預かってもらいました。
比較的大きな家で、庭もある家です。
この家は親父のもう一人の弟で、私もよく可愛がってもらったおじさんです。
しかしこのおじさんの家は、おばさんが障害を抱えており、おじさんが家事もこなすような家庭でした。
犬が1匹増えることは、明らかにおじさんの負担が増すことになります。
でもこのおじさんは快く引き受けてくれて、結局、家を再建するまでの3年間、この犬の面倒を見てくれました。
この犬もおじさんによく可愛がってもらいましたが、震災から1年後に急に光を失ないました。
原因不明ですが、ストレスによる失明だろうと獣医さんに診断されました。
3年後、再建された我が家に帰ってきましたが、その半年後に死にました。
この犬も寿命としては、早すぎる死でした。
2匹の犬を預かってくれた二人のおじさんとその家族には、感謝の気持ちでいっぱいです。
本当に助けてくれる身内が誰なのかもよく分かった出来事でした。
地震で全員無事だった我が家の中で、この2匹の犬だけが最大の被害者になりました。
たらい回しに会い、他人の家で気を使いながら暮らし、ストレスで早くに死を迎えなければならなかったことが、最も悲しいことでした。
私は犬が大好きです。
今も犬を飼っています。
災害の時、おきざりにされてしまう可能性が高いペット。
そのことを十分に考えて、ペットを飼う必要があるとつくづく思いました。
涙が出てきました・・・。
人間だけでなく、動物も被害者ですね。相手は、どうあがいても勝つことの出来ない自然。
それだけに、怒りのぶつけようもなく、悲しい気持ちも落ち着けようがありませんね。
以前も何度かコメントしましたが「本当に人が苦しい時に助けてくれる人が、真の強さを持った優しい人だ」と思っております。
<本当に助けてくれる身内が誰なのかもよく分かった出来事でした。
その気持ちは、すごく分かります。私は、親、兄弟さえも完全には信用してません。結局みんな自分が可愛いのですもの。
私は血の繋がりより、心から信頼関係を持てる身近な人のが大事です。
わんちゃんの事は思い出すのも辛かったのに、震災の怖さを伝える為に話してくださり、有り難うございました。
あたしも小さい頃から家ではずっと犬を飼っていました。学校でやなことや、辛いことがあっても、いつもしっぽをちぎれんばかりに振って、迎えてくれるワンコは、大切な親友でした。だからこそ思います。きっと、ワンコ達も、リックルさん達が自分達を泣く泣く他に預けなければならず、辛かったことが辛かったんだなぁと・・・。きっと、リックルさん一家と離れてしまったことは、とてもさびしかったけど、ワンコ達も事情を分かっていたと思いますよ。ちょっと早く天に召されてしまったけど、それでも一緒にいられて幸せだったと、ワンコが言ってる気がします。
はじめまして。いつも拝見しております。
犬を飼いたいなと最近思っていた矢先の記事でした。
大きな庭のそのおうちが二日で預かれないと思った理由が気になるところです。犬アレルギーなのか、お金の問題なのか? 手間の問題なのか。
しかし、1年後に1匹はなくなり 1匹は失明とは・・・。
犬嫌いな方の家にいれば、もっとストレスはおおきかったかもしれませんね。
暗い話でごめんなさい。
ちょっとテンション落ちますね、この記事は。。。
信頼できる身内の話も、こんな時こそ、はっきりその違いが出ましたね。
うわべだけの付き合いなのか、見返りなしの信頼関係がある付き合いなのか・・・
いつもありがとうございます。
ひまわりさんもワンコ好きですね。(最近もワンコ記事ですもんね)
僕も生まれたときから、現在進行形で、常に犬が一緒なんです。
今はコーギー飼ってます^^
そうですよね。犬はこっちの気持ちをよく知ってる。
そういう環境になってしまったこと、離れなければならなくなったこと、全部彼らは分かってましたね。
だから預けられた先では、常に賢い犬だった。
犬ってホントにすごい!ですよね。
2日で断られた理由は、Jackさんの推測の一番後者ですね。
正直、悲しかったです。
でも、結果的にはそこに頼んだウチの家族が悪いんです。
犬の死は何度か経験しました。
その度に「もう犬を飼うのはやめよう」と思いましたが、やはりあの純粋な犬達とのふれあいが欲しくなり、今も飼ってます。
いいですよ!ワンコ!子供さんなんか居れば、なおいい!
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