ふるえる足・・・被災当日
大地震・・・その現実を受け止め理解できてくると、私の頭に、ある恐ろしい現実が思い浮かんだのでした。

彼女のマンションから歩いて5分のところにある、私の実家。

どうなったんだ・・・


そこには両親と妹、愛犬2匹が暮らしています。

もちろん、私も普段の生活の拠点は実家です。

社会人になっても遊びまわり、親の忠告など聞かず、週末は彼女のマンションに転がり込んでるドラ息子でした。

こんなときに自分の家に居なかった私は、とんでもない親不孝ものだと自分を責めました。

「ちょっと、実家見てくる。お前もひとりじゃ危ないから、一緒に行こう。」

彼女にそう言って、マンションを戸締りし、貴重品を持って、足早に実家へ向かいました。


実家へ向かう、その道のりで私の不安はますます大きくなって行きます。

とにかく、どこに行っても家が全部潰れているのです。

「絶対死者が出ている」

そう思いました。

私の実家も木造2階建ての家です。

決して新しくはありません。

このそこらじゅうで潰れている家と同じような家です。

まさか・・・

最悪の結果ばかりが頭をよぎります。


彼女と二人で実家へ向かっていましたが、私は彼女に話しかける余裕が段々と無くなっていきます。

私の半分泣きそうな顔に、彼女も私に話かけることができません。

それは彼女自身も私と同じことを考えていたからです。


途中で、幼馴染の連れを見かけました。

彼の家はマンションです。倒壊は免れています。

そんな彼が大声で駆け寄ってきました。

「おぉーい、大丈夫やったか?この辺、みんな生き埋めなっとんねん。助けるの手伝ってや!」

彼は警察官を目指したほどの責任感の持ち主。

悲壮な顔で私に応援を求めてきました。

分かってる、助けたいけど、俺、まだ親の顔見てないんや・・・

「ごめん、ウチもかなりヤバいねん。あとで・・・」

後ろめたい気持ちになりながらも、そのことが更に実家への不安をあおり、もう最悪の展開が私の頭にインプットされてしまいました。


実家が近づいてくると、その周辺では火の手もあがっており、ますますこの世とは思えない惨状になってきました。








(写真は彼女のマンションのあった神戸市灘区琵琶町付近の映像です。神戸市のHPからお借りしました。写真を見て、今さらながらも恐怖を感じます。)


恐ろしい現実を見るのが不安で不安で、足がふるえ、唇がふるえ、体が前に進まなくまりました。

そして、彼女に背中を押されるように、実家と目と鼻の先まで来ました。


実家は、親は、妹は、犬は・・・?

家が見えません。

というか、実家の前の狭い路地に、多くの家が重なりあっていて、路地をふさいでいるので、近づけません。

「この中、この奥はどうなってるんだ・・・」

路地の入り口付近でオロオロしました。

そして、とっさに目の前にある電柱にしがみつき、家が見えるとこまで登りました。


家は・・・


形はありました。

下(1階)の方はよく分かりませんが、上(2階)はちゃんとあります。

つまりぺしゃんこにはなっていません。

少し不安は緩みましたが、家族はどこに居るのか?

大声で呼びかけました。

「おぉーい、オヤジ。おぉーい!!」

電柱に登って、叫びまくる。こんなとき恥ずかしさなんて、これっぽっちもありません。


大声で叫んでると、よく知ってる近所のおっちゃんが下から声をかけてくれました。

「おぉ~、○○さんとこの息子やな。みんな無事やで。大丈夫や。お父さん、あんたのこと気にしとるで。いま家の裏から、家の中のもん取り出してる最中やわ。」

「そ、そうですか。ありがとうございます。」

涙が浮かびました。
2008/01/19(Sat) | トラックバック(0) | コメント(6) | page top↑
コメント
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4~5回繰り返して読みましたが、読むたびになんだか涙が出てきてしまいます。
報道では伝えられない、生々しい声。
ブログを通じて、リックルハングさんの恐怖や戸惑いや悲しみ・・・その時の経験を追体験させていただいているみたいです。

ちゃんと知っておかなきゃいけないこと・・・。
知って、備えておかなければいけないことですね。。。

えっと・・・、もしよかったら、私のブログのほうでもご紹介させてもらってもいいですか?
by: あぶりしゃけ * 2008/01/20 01:40 * URL [ 編集] | page top↑
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どん底どころじゃない地獄、、を経験、ハングさんの芦屋に家を建てるまでのハングリースピリットはそこから来ているのですね。
よくぞご無事で、、、と言わせてください。

私もあの日、実は里におりました。娘を妊娠中で8ヶ月くらいだったと思います。明け方5時過ぎに名古屋の家が揺れだし、寝ていた私の頭上で揺れるたんすを見ながら、お腹がつぶされる!っと思いまた。
震度5だか、くらいしか名古屋はなかったけれど、すごい揺れでした。初めて体験した強い揺れ。だから震源地の神戸がどんなに悲惨な揺れにあったか、
想像がちらっとつき、TVの映像での悲惨なB29並の襲撃、、には胸を痛めましたね。
by: べべ * 2008/01/20 11:55 * URL [ 編集] | page top↑
--しゃけさん、いつもありがとうございます!--

この話題は必ず風化します。それは分かっています。
先日、1・17を迎えて、メディアが取り上げてくれたので、興味を持ってくれる人がいますが、また暖かくなる頃には忘れられるのです。
それは仕方ありません。
だから一気に書きますよ。
名古屋の水害も同じなので、しゃけさんも分かると思います。

さりげないリンクありがとうございます。
多くの方に見られるしゃけさんのブログで紹介してもらえると、少しでも風化のスピードを遅くできるような気がします^^
by: リックルハング * 2008/01/20 12:47 * URL [ 編集] | page top↑
--ベベさん、こんにちわ--

妊娠中にあんな日を経験したら、さぞ不安だったでしょう。
まさに爆撃後、空襲にあった街のようでした。

たしかに、あの経験がハングリーさを強めたのかも知れません。
少なくとも「家」に対する執着は、相当強くなりました。

また、よろしくお願いします。
(くじら論争、とても勉強になりました^^)
by: リックルハング * 2008/01/20 12:53 * URL [ 編集] | page top↑
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立来さん、おはようございます^^

事後報告ですみません。
今日のブログ記事に「私だけは大丈夫、そう思ってました ~震災手記~」を書かせて頂きました。
紹介の仕方に問題がある場合、お手数ですが
ご連絡下さい。
by: meg * 2008/01/21 06:09 * URL [ 編集] | page top↑
--megさん、おはようございます^^--

全然問題ないです。
嬉しいです。ありがとうございます!

確かに、僕なんかよりもっとツライ思いをされてる人が山ほど居ますので、その方にはちょっとリアルすぎてキツイ内容になっていると思います・・・
by: リックルハング * 2008/01/21 06:34 * URL [ 編集] | page top↑
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